貝合わせの制作過程

ビリケンギャラリーにて展示中の貝合わせ、今回はその制作過程をご紹介します。
どうしたらハマグリに絵が描けるのか?
いろいろ模索してきましたが、現在はテンペラで描く方法に落ち着いています。


まずハマグリにボローニャ石膏を塗り重ねます。
乾いたら磨いてツルツルにします。
鉛筆で下絵も描いておきます。


ボーロという下地を塗ってから、箔を貼ります。
金箔とプラチナ箔を使っています。


肌に相当する部分にもボーロ下地を塗ります。
この上に鉛白を塗り重ねていくと、赤みのある元気な肌になります。


メジューム(卵黄+お酢)で溶いた顔料で、細部を描いていきます。


ニスを塗って出来上がりです。クッションも作ってあげます。

ざっくりですが、およそこんな制作過程です。

さてさて初めの頃は、胡粉で下地を作り岩絵具で描いていました。
2005年の作品「七夕邂逅」です。

これはこれで良いのですが。
下地作りに時間がかかり過ぎること、箔の強さに対して岩絵具が沈んでしまうことが悩みでした。
そこで、テンペラ技法と岩絵具を併用した時期もありました。
が、現在は全行程をテンペラで作っています。

もっといろいろ工夫していく余地がありそうな貝合わせ。
これからもイメージを広げて作っていけたらと思います。